秋の気候が近づいて来たので、久しぶりに電車に乗って、東急大井町線の上毛野駅で降りる。
今日の散策の目玉は、五島美術館と等々力渓谷である。
上野毛駅から国道466号環八通りの上野毛駅前交差点に出て、五島美術館に向かう。
展示館は吉田五十八の設計で、寝殿造りの要素を現代建築に取り入れた建物である。
五島美術館は国宝である「源氏物語絵巻」で名高いが、今日は未展示であった。
展示館の背後に広がる庭園も見所があるので、最初に、時間をかけてゆっくり歩く。
庭園に入って左折し、天祐庵門を潜り、園内を右回りに歩く。 門を潜るとる、道教の神仙である壽老人の石像がある。
園内には稲荷丸古墳がある。 築造時期は不明であるが、周囲には縄文時代の前期後半の遺跡がある。
稲荷丸古墳は、武蔵野段丘の国分寺崖線の縁辺部に位置している。 庭園は多摩川が武蔵野台地を侵食してできた傾斜地にある.
武蔵野台地の崖の上を歩いて行くと、見晴台庭園がある。 小枝の間からは、二子玉川ライズタワー群が見える。
富士山も見える時があるらしい。 見晴台庭園にある多重層塔を眺めてから、庭園の南端下にあるあずま屋に向かって一服する。
東屋から崖の下にあたる庭園の一番低い所へ降りると池がある。 瓢箪池には錦鯉が泳いでいる。
庭園内には至る所に、石灯篭や石仏がある。 赤門に到着、表と裏側から望む。
遊歩道の途中にある石柱には、どうゆう訳か、「右いがうえの道」の文字が見える。
庭園散策の最後に、海岸崖線の坂道を登って美術館の展示館へ向かう。
五島美術館の受付や展示室は広々としている。 館内は撮影禁止である。 美術品を鑑賞後、美術館の売店も覗いてみる。
五島美術館は五島慶太が蒐集した美術品が基になっていて、1960年に開館した。
五島美術館には国宝5点、重文50点、大東急記念文庫には国宝3点、重文32点を収納している。
美術館を出て、前の道を南東に進むと、右手に、世田谷区立上野毛自然公園がある。
上野毛自然公園を出て、更に右手に進むと、覚願寺がある。 環八通りのガード下に到着、ガードを潜った向こう側で賑やかな声がする。
今日は野毛六所神社例大祭の日で、睦の字が入った法被を来た氏子たちが神輿を担いでいる。
六所神社は家康の出身地である岡崎市内の中心地に、重文の立派な六所神社がある。
六所神社は関東に多いが、家康の江戸開府により広まったらしい。 因みに神社の創建は元和年間である。
五島美術館
地図の中央の矢印が五島美術館です <東京都世田谷区上野毛3丁目9にて>
五島美術館を、下記の「五島美術館」の
ボタンをクリックして44枚のスライド写真でご覧ください。
神輿を後にして、丘の上の玉川野毛町公園へ坂道を登る。
玉川野毛町公園には、五世紀前半に築造された野毛大塚古墳がある。 野毛大塚古墳は関東地方の中期古墳文化を代表する古墳である。
多量の武器・武具類の出土品は、この古墳が南武蔵の有力な首長墓であることを示している。
古墳の規模は、全長82m、後円部の高さ10mの帆立貝式の前方後円墳である。
周濠を含めた全長は104mで、三段に構築された墳丘にはそれぞれ円筒埴輪が置かれていた。
後円部頂上には四基の埋葬施設があり、割竹形木棺、箱式石棺、箱形木棺が納められていた。
竹割形木棺からは、甲冑、刀剣、鉄族等の武器・武具類が出土した。
多摩川沿いに並ぶ古墳群を尋ねてみて、五世紀前半には大和政権は関東平野を完全に制覇していたと実感した。
玉川野毛町公園は、緑の芝生が古墳を取り巻いていて、都民の憩いの場になっている
野毛町自然公園から等々力渓谷を目指して歩くと、渓谷右岸の日本庭園にある書院建物に至る。
日本庭園から等々力渓谷を流れる谷沢川へと向かう。
谷沢川の右岸を下流に歩くと、矢川橋があり、橋を渡って左岸を上流に引き返す。
等々力不動児童公園の中を進むと、右手に、等々力不動尊明王院弁天堂がある。
祠から更に北に歩くと、目の前の丘の上に大きな建物が見えて来た。 満願寺の別院で、関東三十六不動寺霊場の等々力不動尊である。
等々力不動尊の本堂に参拝。 等々力不動尊の正式名は滝轟山明王院で、玉川八十八ヶ所霊場33番である。
本尊の不動明王は、1300年前の推古帝の頃、役の行者が悪夢を見て彫られたと云う。
800年前、根来寺の興教大師が不動堂を建立したと伝えられている。
境内の売店で、西尾産の抹茶入りソフトクリームを買って食べる。
等々力不動尊から矢沢川に降りると、二筋の不動滝がある。
滝の前に石仏があり、石仏の前の灯篭には、瀧轟会の文字が見える。 瀧轟会の会員により、瀧の周囲が守られている。
現在でも、瀧修行が行われている不動滝は、国分寺崖線の湧水である。 等々力不動滝の前には、稲荷大明神の祠がある。
稲荷大明神に参拝後、矢沢川に架かる小橋を渡って右岸へ。 橋の背後には、左に稲荷大明神の祠、右に等々力不動滝が見える。
矢沢川の右岸から、左に稲荷大明神、右に茶店の「雪月花」が見える。
等々力渓谷は、国分寺崖線の最南端に位置する関析谷で、都区内唯一の渓谷である。
等々力渓谷には約30個所以上の湧水が発生し、一部は窪地に集まって湿地を形成している。
谷沢川の水質は、ゴルフ橋から下流に行くにしたがって改善され、それには湧水が大きく寄与している。
等々力渓谷の湧水は、2003年に「東京の名湧水57選」に選定された。 橋の上を環八が通る玉沢橋が見えて来た。
大勢の人が渓谷を下って来る、駅から来たのだろう。
渓谷の地層断面は、下から、泥岩層、渋谷粘土層、武蔵野礫層、武蔵野粘土層、東京軽石層、ローム層の順になっている。
等々力渓谷の出発点であるゴルフ橋が見えて来た。
ゴルフ橋を潜って、東詰にある坂を登ると、等々力渓谷公園の標識がある。
標識から東に歩くと、等々力商店街の通りに突き当たる。
等々力商店街を北に歩くと、東急大井町線の踏切があり、右手に等々力駅がある。 リンかい線と武蔵野線を経由して帰宅する。
等々力不動尊
地図の中央の矢印が等々力不動尊です <東京都世田谷区等々力1丁目22にて>
玉川野毛町公園と等々力渓谷を、下記の「玉川野毛町公園と等々力渓谷」の
ボタンをクリックして46枚のスライド写真でご覧ください。