伊能忠敬関係書類が国宝に指定され、伊能忠敬記念館で展示されているとのことで、
小江戸の佐原散策も兼ねて、東関東自動車道の佐倉香取インターで降りて、忠敬橋を目指す。
忠敬橋を渡ると、右手に、小堀屋本店があり、その向かいに駐車場を見つけたので、そこからスタートする。
最初に、東に歩き、街の中心である忠敬橋から、小野川右岸を上流に向かって歩く。
河岸に柳並木が続いている。 柳の緑が、静寂さと落ち着きを醸し出している。
忠敬橋の西詰では近代的なビルが建設中で違和感を感じる。
小野川は現在でも、舟が行き交い、船着き場が各所にある。 船着き場に降りて、下流を望むと、共栄橋が見える。
江戸時代、小野川両岸とその周辺には、河岸問屋や醸造などの商工業者が軒を連ねていた。
右手に、「こだわりのタレ」を売り物にして、200年続いている醤油屋の「いかだ焼本舗正上」がある。
江戸伝承の佃煮を製造販売をしている正上の店舗に隣接して建つ蔵は、時間の流れを感じさせる。
小野川河岸には、現在も、隆盛を極めた当時を彷彿とさせる古い商家が立ち並んでいる。
この一帯は昔から家業を引き継ぎ、今も営業を続けている商家が多い。
老舗が多いことから、「生きている町並み」と評されている。
1996年に関東地方で初めて「重要伝統的建造物群保存地区」に指定された。
共栄橋から中橋まで歩き右折して八坂神社に向かう。
八坂神社に隣接して、「水郷佐原山車会館」があり、佐原の大祭りに登場する山車が展示してある。
佐原の大祭は7月の八坂神社祇園祭と10月の諏訪神社祭の二つのお祭である。
佐原の大祭は「お江戸見たけりゃ佐原へござれ、佐原の本町江戸優り」の具現である。
佐原では、約300年に渡り、その伝統が脈々と引き継がれてきた。
山車の最上部「大天井」には、仁徳天皇など「日本一の大人形」が据えられる。
水郷佐原山車会館に隣接した、小野川より東側の本宿の鎮守である八坂神社に参拝する。
神社の祭神はスサノオ命で、祇園精舎の守護神である牛頭天王社が還宮された。 参拝を終え再び小野川に戻る。
更に下流に向かって歩き、中橋に到着する。 橋を渡ると左手に、上州屋酒店がある。
中橋から開運橋に向かう。 山野病院の前から上流に小野川を望むと、左岸にはNTT東日本の鉄塔がある。
更に、小野川右岸を下流に歩くと、開運橋があり、成田線の鉄橋を挟んで小鮒橋がある。
小野川には、小江戸さわら、小野川・町並舟めぐりの遊覧船が運航している。
遊覧船は、町並舟めぐりの他に、水郷佐原十二橋舟めぐりがある。
遊覧船は観光客で満員である。 乗船料金は大人で1300円である。
新橋に到着。 新橋から小野川の下流を望む。 この先、万代橋、北賑橋を経て利根川に至る。
この辺りまで足を延す観光客は少ない。 川岸公園に若山牧水の「水郷めぐり」の歌碑がある。
佐原の中心部を流れる小野川河岸の風景を、下記の「佐原の小野川河岸 1」の
ボタンをクリックして40枚のスライド写真でご覧ください。
川岸公園は旧入船橋緑地公園で、南端に、田端義夫の大利根月夜の歌唱碑がある。
上流へと戻り、成田線の線路を横切ると、開運橋が見えて来る。
大祭の頃は大いに賑わうが、この季節で散策している観光客は疎らである。
共栄橋が見えて来た。 間もなく佐原の中心である。 対岸の右岸には、先程の「いかだ焼本舗正上」の店舗が見える。
忠敬橋西詰めの忠敬橋交差点の南東角には、1893年建築の「植田屋荒物店」がある。
交差点を左折すると、前方に赤レンガ造りの佐原三菱館が見る。
右手前に、1892年建築で、当時の最高の技術を駆使した防火構造の「中村屋乾物店」がある。
赤レンガの三菱館に到着。 現役時代は、三菱銀行佐原支店旧本館であった。
三菱館は1914年建築の明治の西洋建築の流れをくむ建物で、レンガを積み上げて造られた。
佐原三菱館は佐原市に寄贈され、企画展の開催や観光施設として活用されている。
重要伝統的建築物群保存地区には、三菱館を始め、7軒の千葉県有形文化財の建物がある
。
再び、忠敬橋交差点に戻り、小野川右岸を上流に歩く。 樋橋の手前右手に、「史蹟 伊能忠敬翁旧宅」の石碑がある。
小野川の右岸に川に面したこの地で、伊能忠敬は17歳から30年余り過ごした。
土間に入り、店舗であった帳場と奥の座敷を望む。
中庭には、伊能忠敬の立像と「この一歩から 測量の日」の記念碑がある。
日本地図が完成した1815年には、忠敬は既に70歳になっていた。
4月19日は蝦夷地の測量に出発した日で、地図の日として制定されたいる。
伊能忠敬旧宅を見学した後は、樋橋を渡って伊能忠敬記念館へ向かう。
伊能忠敬記念館所蔵の「伊能忠敬関係資料」2345点が2010年に国宝に指定された。
館内は撮影禁止であるが、今年は伊能忠敬没後200年に当たり、館内は国宝で溢れていた。
再び、樋橋に戻り、左岸を歩いて忠敬橋へ向かう。 忠敬橋の西詰に中村屋商店の店舗と蔵が並ぶ。
中村屋商店は1855年建築で、荒物、雑貨、畳などを扱っていた。
明治25年の大火後に建てた中村屋商店の三階建の袖蔵の一階内部も見学できる。
橋から左に行くと、正文堂や小堀屋本店がある。
駐車場の向いにある小堀屋本店の前に来る。 左が1895年建築の福新呉服店で1804年創業の老舗である。
小堀屋本店は、1900年の建築で、1782年創業の蕎麦屋で佐原ではお勧めの蕎麦屋だとのこと。
相席したカップルのお勧めで、日高昆布で黒くなった「黒切蕎麦」を注文する。
江戸時代から8代続く老舗で、明治時代の蕎麦屋の店舗形態を良く残し、店には秘伝書や道具類が残る。
店を出たら、「本日黒切完売しました」の張り紙が出ていた。 「黒切蕎麦」の想い出と共に佐原を後にする
老舗小堀屋本店
地図の中央の矢印が老舗小堀屋本店です <千葉県香取市佐原イにて>
佐原の中心部を流れる小野川河岸の風景を、下記の「佐原の小野川河岸 2」の
ボタンをクリックして47枚のスライド写真でご覧ください。