中山(2496m)から天狗岳へ    2004年7月21日


 白駒池から高見石経由で中山山頂(2496m)へ(左)

 昨晩宿泊した「渋御殿湯」で明日の午前中は晴天と聞かされ、急遽、天狗岳を目指す計画を描く。  この辺りは、全くの不案内で、地形図だけが頼り。  登山道の難易度の程度が分からないので、中山で引き返しても良いと考え、 比較的容易な麦草峠から中山峠経由のコースを選ぶ。
 麦草峠を過ぎた、白駒池の有料駐車場を出発したのが9時過ぎと山歩きにしては遅い時間であった。  白駒池をバイパスして、高見石小屋経由で最初の目的地である中山へ。

 石がごろごろした、両側の視界が遮られた登山道を歩けども歩けども、だらだらの上り道が続き、次第に嫌気がさす。  静かな山道で、やっと出会った男の人に、上りはこの先で終わりですよと言われ、ほっとする。  突然視野が開け、中山展望台に到着する。 ここからは、一部雲に遮られた北八ヶ岳北部の山々が見える。
 更に、林の中を進むと、標識が無ければ通り過ぎてしまうような、中山山頂に到着。  予想時間に到着したので、更に、天狗岳を目指して、山中峠へと下る。  今までのハイキングコースと異なり、周りの風景が一変し、八ヶ岳東側の絶壁が道の左手に迫ってくる。

  中山 地図の中央「+」印が山頂の場所です

<長野県茅野市にて>



  中山峠辺りで東天狗岳(2640m)を背景に(右)

 中山を乗り越えて、黒百合平からの合流点である中山峠にやっと到着し、後の中山を振り返り、意外と山容の大きさに気づく。  急坂があるものの、昨晩宿泊した「渋の湯」から黒百合平経由での方が時間的に余裕ができたと反省する。  峠からの登山道は大きな石が立ちはだかり、山岳登山の雰囲気が漂ってくる。
 爆発火口壁を前面に見せる硫黄岳(2742m)を背景に、間近に見える東天狗岳へのアプローチは予想外に時間がかかる。  午前中はほとんど無かった雲が、八ヶ岳の主峰を覆いだし、こちらに迫ってくる。

   坂を上りきった所で、キャップ状の山頂の凸部が目の前に現れる。  地形図によると、2600m地点近くで、後は、標高差は40mほど、時計を見ると、正午を過ぎたところである。  雲の流れと時計を見て、今日はここまでとの判断が同時に二人の頭に浮かんだ。
   昨晩、宿で一緒だった埼玉から来たグループが山頂から降りてきて、 「後、山頂まで10分ですよ。ここから引き返すのは勿体無い」と言われる。  霧が流れ出したので、グループの後を追って下る。  間もなく、目の前に見えた天狗岳が雲の中に隠れ、向こうに見えた一匹の鹿の姿が霧の中に消える。  霧と雨粒に追われながら、駐車場まで無事帰還。
 結果的には、1泊と合計7時間もかけて、目指した天狗岳に、後10分??と迫りながら、  「気前良く放棄」というリッチな選択が出来る状況を寧ろ有難く思い、その幸せを噛み締めるべきだと思った。

    東天狗岳 地図の中央「+」印が山頂の場所です

<長野県茅野市にて>



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