片知山(966m)         2003年11月26日


片知山から片知渓谷への下山道で紅葉のトンネルを潜る(左)

 今週の週末には富士山の近くの山でも登ろうと前から予定していたものの、天気予報は土日共に雨らしい。  一方、水曜日は全国的に上天気との予報で、気軽に登れて知名度の高い山として、美濃の片知山を目指す。  登山口の口板山神社に着いたが、登山者らしい車は一台も見えない。 神底谷沿いの登山道に入り、 三十三曲がりを経て岩屋観音堂に至るも、人影一つ見えない。

 尾根に出て、風に吹かれながら歩く。 紅葉は既に盛を過ぎ、 木々に囲まれた登山道からは展望が殆ど利かない。 期待はずれの山歩きにやや失望しかけていたら、  小枝が網状に張った林の間から、積雪で白く輝く御嶽山や中央アルプスの姿を捕らえる。 落葉の時期でなければ 決して見られない景色に、やや慰められるも、殺風景な山頂での昼食を止めて北側鞍部からふくべの森へと下る。

 片知渓谷への下山道を下るに連れて、落葉した枯林が段々色づいた林に変わり、谷が開け、 日光がが差し込む辺りになると、素晴らしい紅葉の林が展開し始め、そこでお弁当を広げながら、 今日、ここに来て良かったとやっと思う。

<岐阜県美濃市にて>


               昨日の雨で増水して、勢い良く流れる片知渓谷(右)

 片知渓谷に辿り着くと「ふくべの森」の案内板がある。 遊歩道に入り込むと、凸凹の道に岩が ゴロゴロしていて、登山靴でなければ歩けないような廃道である。 放棄されてからかなりの 年月が過ぎているだろう。  林道から渓谷に下るちょっとした段々がある。 見落としそうな道であるが、時間的な余裕と好奇心から 入り込んでみたら、片知川に掛かる「岳水橋」にて出て、「片知渓谷 ふくべの森遊歩道」との案内板が 立っている。  

 片知川右岸を歩く「遊仙橋」迄、全長1300mの遊歩道である。 昨日の雨で増水した片知渓谷は 豪快に流れ、上り下りがある変化に富んだ遊歩道は紅葉で彩られ、左岸に迫る片知山は全山が日光で黄色に 輝いている。 それでも、一回りの山歩きで、一人の登山者に遭遇することもなく、この雄大な大自然を 私共だけで占有した思いだ。

片知山の場所 地図の中央「+」印が山頂の場所です

<岐阜県恵那市にて>

次のページへ

21世紀からの山歩き