黒部渓谷の下廊下
1957年8月
下廊下の吊り桟橋を歩いて十字峡へ向かう(左)
阿曽原温泉の山小屋を朝出発し、下廊下に向かう。 間もなく、谷は切り立って道は数本の丸太を
束ねて、上から吊った吊り桟橋になる。 足下の丸太の間から、滔々と流れる黒部の激流が見える。
高い所では、足下の丸太から黒部川の水面迄二百米もある。
4本のロープに、足場の板を並べただけで、左右が開放の吊り橋を何本も渡り、S字峡を経て、
十字峡に辿り着いた時には、至福の喜びを味わった。 その後、長い年月の間、各地を彷徨ったが、
下廊下の時以上の感激を味わうことはできなかった。
<富山県黒部渓谷にて>