涸沢の紅葉      2004年10月12日


 奥穂高岳(左)と涸沢岳(右)を望む(左の写真)

   結婚40周年記念の夜を、横尾山荘で静かに過ごした翌朝、期待通りの青空に歓迎されて、 横尾山荘を6時半に出発する。  横尾大橋から横尾谷に入る。  原生林を通り過ぎて河原に出ると、左手に屏風岩の大岩壁が聳えている。
 既にこの辺りまで紅葉が下りてきている。  高く澄み切る青空を目指して、横尾本谷の左岸を歩き、本谷橋の到着。  ここには先着のパーティーがいて賑やかだった。

 本谷橋からきつい登りが始まったが、紅葉が一気に進み、錦の帳に包まれる。  カールから下りてきた人が、「カールの紅葉はもう盛を過ぎている。  それに例年と比べて、今年は不作であるので、この辺の紅葉を十分堪能したら」と言われる。
 今年の記念日は出雲でもお参りに行こうかと思っていたが、10月7日の中日新聞の朝刊に掲載された 涸沢の見事な紅葉の写真と、親友の涸沢登山の報告に触発され、10月12日の涸沢は上天気だとの インターネットの情報により、出発前日に急遽、計画を変更した次第である。


  
紅葉の額縁から涸沢カールの奥に奥穂高岳を望む(右)

 カールに近づくに連れて、益々色鮮やかになる。  カールを取り囲む穂高連峰の山々には、青空の背景にアクセントの雲が欲しいと願うほどの 晴天に恵まれ、北穂、涸沢、奥穂、前穂の山々が我々を取り巻くように迫ってくる。  東には常念岳の一部とアルプス銀座の東大天井岳が望まれる。  先日、木曽駒ヶ岳の千畳敷カールで迫力を味わったが、お皿の底と茶碗の底の感じだろうか。

 結局、紅葉に誘われて、写真を撮りながら、カールまで一度も休憩を取ること無しに 登って仕舞った。  涸沢小屋は今日で今シーズンは終わりだとの話。  カールの上の奥穂高岳へと続くパノラマコース(標高2350m)から、先日まで、大いに賑わっただろうが、 今日は人影も極疎らな涸沢をいつまでも眺めて時を過ごした。  静かな雰囲気を漂わせる大自然の中で、人生の節目の一時を 有意義に過ごすことが出来、至福の一瞬を味わった。  

  涸沢カール 地図の中央「+」印がカールの場所です

<長野県安曇村にて>
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21世紀からの山歩き